「タワーマンション住まいで流産のリスクが高まる」という噂を検証する

タワーマンションと流産の可能性

高層マンション症候群(シンドローム)という言葉があります。

高層階に住んでいる妊婦の異常分娩や流産の確率が、一戸建てや低層階と比べると高くなる傾向があるというもの。


今年、2010年7月に行われた「日本臨床環境医学会学術集会」に、新たな研究を発表しました。2008年5月までの10年間に、横浜市内の3箇所の保健所で子供検診をした母親にアンケート調査を行ったもので、母数は、集合住宅に居住する1,957名です。その結果、1、2階の住居者の流産経験者の割合は8.9%、3~5階は9.2%、6~9階は17.8%、10階以上は21.4%でした。これを年齢別に見てみると、27歳以下では、どの階も5%前後、平均5.3%で、違いはあまりありませんでした。ところが28~32歳では、1、2階の住居者の流産経験者の割合は10.2%、3~5階は9.0%、6~9階は17.6%、10階以上は21.1%で、平均10.5%でした。33歳以上では、1、2階の住居者の流産経験者の割合は22.4%、3~5階は21.1%、6~9階は38.1%でした。

(「日本臨床環境医学会学術集会」抄録より引用)


論文には「年齢と階層が高くなるにつれ、流産率も高くなる」ということが書かれていますが、実際の所、高層マンションやタワーマンションの高層階と流産の関係はあるのでしょうか?

30代以上の流産確率は元々高い

元々30代後半になると妊娠がしにくかったり、流産の可能性が高くなります。
タワーマンションの高層階に住めるようになるには、ある程度の稼ぎが必要になるので、年齢層も高めです。

「タワーマンションの高層階に住むような人は年齢層も高いので、高層マンション症候群とは関係なく流産する可能性が高くなる」という見方もできます。

論文には「33歳以上」と書かれていますが、実際の年齢については触れられていません。40代の妊婦でも「33歳以上」に分類される訳です。

しかもアンケート回答者数が1,957名と少ないので、データの信憑性にやや欠けます。すべてを鵜呑みにするのは危険です。

流産の原因とは?

流産の原因の多くは胎児の染色体の異常です。
流産するかどうかは、受精した時に決まると言っても過言では有りません。

安定期以降ならば、母体の身体的な負担や病気で流産することもありますが「タワーマンションの微妙な揺れがストレスとなって流産」とは、また状況が異なります。

「精神的なストレスで流産した」と言う話も良く聞きますが、身体的な暴力を振るわれていたり、食事が満足にもらえなかったり、陰惨なイジメを受けていたりするケースが大半です。

そもそも「微妙な揺れ」が起こりやすい高層ビルで、長時間働く妊娠中の女性も多くいます。
高層ビルで働く女性の流産率も高ければ、論文の信憑性も増しますが、その辺りのことも考えてみる必要性があります。

「高層階で流産しやすい」は都市伝説レベル?

日本で高層マンション、タワーマンションが頻発に建つようになったのは、ほんの20~30年前から。

マンションの高層階における健康被害や流産の確率などに関しては、まだまだ充分なデータがありません。

「タワーマンション住まいで健康や妊娠に影響が出るかどうか」は、個体差があり、人それぞれ違う程度に考えておいた方が賢明です。

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